「毎日何かとバタバタして忙しい…。」
「私の人生これでいいのかな…。」
「他にどんな生き方ができるんだろう…。」
頑張っている方こそ、
そんなことを思う瞬間があるのではないでしょうか。
真似できるかどうかはさておき、
「こんな生き方もあるんだ!」
「もう少し気を抜いて生きてもいいんだ!」
そんなことを思わせてくれる1冊です。
あらすじ
前作『れんげ荘』に続く、れんげ荘シリーズの第2作です。
主人公キョウコは、仕事ばかり、母の苦言ばかりの毎日に疑問を持ち、
前作である決意をしています。
「仕事を辞め、1ヶ月10万円で暮らす」
そんな人生の舞台となるのが、築50年は超えていそうな古いアパート、「れんげ荘」です。
古いアパートなだけあって、
梅雨の時期にはカビやナメクジ、おっきなミミズに驚いたり、
夏は夏で蚊の大群に四苦八苦したり、
家の中にいるはずなのにアウトドアさながらのワイルドな日々。
でも、そんな中感じる日常のふとした幸せや、
周りの人の優しさに気づき、穏やかに暮らしてく姿が描かれています。
第2作の本書では、
2号室に住むキョウコ、
3号室に住むおしゃれで豊かなお隣のクマガイさん、
3号室の隣の物置に住む職業旅人のコナツさんに加えて、
1号室に新メンバー、スタイル抜群の美女、チユキさんが引っ越してきます。
大きな家具はなく、リアカーひとつで引越してきたチユキさん。
若い彼女が引っ越してきたのには理由があるそうで…。
新たな人との繋がりもでき、
ささやかながらも充実した毎日を送るキョウコ。
そんなキョウコが新しい趣味、刺繍に出会います。
気軽に始めたものの、歳を重ねた体には辛いことも多く、早くもめげそうに…。
心が折れそうになりながらも、少しずつ前に進むことの楽しさや、
形になっていくことに感動し、趣味の世界を広げていきます。
自分にとって大切なことに大切な時間を使う。
おだやかにゆるく流れる日常を慈しみ、何気ない日々を大切に生きる。
当たり前のはずなのに、
忙しい毎日の中では忘れがちな大切なことに気づかせてくれる、
そんな一冊です。
感想
シリーズの第1作に引き続き、
読みたいなと思った理由は、
れんげ荘の世界観と登場人物が好きだからです。
自分自身は毎日朝から夜まで仕事をして、
通勤では満員電車に揺られ、
気持ち的にも時間的にも余裕のない人生を送っている気がします。
でも本当は主人公キョウコのような人生を歩みたい。
丁寧に淹れたお茶をお気に入りの湯呑みで飲む、
大切な人と美味しいものをシェアする、
散歩中の犬や猫とおしゃべりをする、
図書館で読書をする、
新しい趣味の世界を広げる…。
キョウコが会社員時代にがむしゃらに頑張ってきたからこそ広がる、
豊かで自由な生活を覗くことで、
自分の人生において大切なことは何なのか、
考えるきっかけになりました。
また、このシリーズの登場人物は、
「となりにいる人に優しくする」
ということが当たり前にできる人たちです。
れんげ荘に新しく住む住民を温かく迎えるクマガイさん、
誰かが困っているときには雪の中助けに走ったコナツさん、
他人の好きなものを無条件で肯定してくれるチユキさん、
いつも助けてくれる不動産屋のおじさん、
古いアパートなのに、この場所が好きだと共感してくれる友人のマユちゃんや姪のレイナ、
周りの人の優しさに救われ、
周りの人のことを当たり前に大切にできるキョウコ。
高級なものをプレゼントするとか、
遠くに旅行に行くとか、
特別なことはしていません。
ただ、人が人を大切にしていると肌で感じられる描写がとても美しい物語。
読んでいると大切な人を大切にしたくなります。
忙しくて疲れているときこそ、
当たり前の幸せや、
身近な大切な人の存在に気づきにくいもの。
自分が気づけていないだけで、
すでに幸せは身近にあるのかもしれないな〜。
そう気づかせてくれる、そんな一冊です。
おすすめの小説グルメ「鮨屋のおまかせランチ」
引っ越してきたチユキさんを歓迎するため、
主人公キョウコとクマガイさんの3人で鮨屋さんを訪れます。
初めて人と会うときは緊張しますよね。
どんな人かな、
何か質問をしてもいいのかな、
これから上手く付き合っていけるかな、
そんな不安を和らげてくれるのは、
やっぱり美味しいもの。
3人も美味しいお寿司ランチを食べながら、
今までのこと、これからのことを
のんびりと話します。
美味しいものを共有できるって幸せなこと。
思い立った時に、
大切な人とちょっと気になるお寿司屋さんで、
ランチするのはいかがでしょうか。
今日の幸せリスト
・朝からお散歩できた
・読んでいた本を読み終わった(面白かった)
・月曜の出勤なのにそんなに嫌じゃなかった


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